「やったー!!」
「おい!全国だぞ全国!!」
「最高よ!アンタ達!!」


思い思いの言葉を口にして、全国出場の現実を喜び合う。
一勝一敗崖っぷち、安西先生不在、赤木の怪我、
緊張の糸はとてつもなく細くて今にも切れてしまいそうな中、
決勝リーグ、インターハイ最後の椅子をかけた陵南高校との試合、
終わってみれば湘北高校が接戦を制し、
インターハイの切符を手に入れた。
私は別室で荷物を整理して、皆が出てくるのを待っていた。
選手控え室で、三井たちが何を話しているかも私は知らずに。



「赤木、木暮……ちょっといいか?」
「何だ、三井。貧血はもういいのか?」
「あー……。大事な所で、悪かった、全国までにもっと体力戻す」
「当たり前だ、多分が鬼のようなメニューを用意してくれてるはずだしな」
「鬼……復帰初っ端よりきつそうか?」
「おそらくな。アイツ部室でにやけながらメニュー作ってたぞ」
「俺、殺されんな……」
「フン、殺されてろ」
「なんだと!このゴリラ!」
「誰がゴリラだ!誰が!!」
「あーあー、赤木も三井もやめとけよー。それで?三井、話があるんじゃないのか?」
「う……その、のこと、なんだけどよ」
「ん?がどうかしたのか?」
「その……インターハイ決まったし、あいつに気持ち……伝えようかと思って……」
「そうか!うん、そうしろよ、なぁ赤木?上手くいくといいな、三井」
「だと、いいんだけどよ」


「木暮、お前は三井に甘い」
「そんなことないぞ?と三井が上手く行くなら俺たちも嬉しいことだろ?」
「そこが甘いといってるんだ。本当なら俺は認めたくない」
「チッ、何でだよ。まさか赤木までが好きとか言うんじゃないだろうな?」
「違うわ、戯けが。……三井、お前二度とを泣かさないと誓えるか」
「……あ?」
「誓えるか、と聞いてるんだ。俺と木暮は、お前が部から消えたとき、
アイツが毎日泣いてたのを見てるんだ」


― 私がもっと、お見舞いに行ってたら……。忙しいからってなかなかいけなくて、言い訳ばっかりで最低だ……
― 三井の部費は私が払っておくから!だから除籍だけはしないで!お願い赤木
― 私、アイツになんて声かけたらよかったんだろ……。経験者だったら上手い言葉があったのかな


「あの時は辛そうだったな、……」
「アイツが……俺の部費まで払ってたのか?」
「そうだよ、三井には黙っておけって言われてたからな言えなかったけど」
「また泣かすような中途半端な真似するなら、あいつに気持ちを伝えるな」
「……あ、ああ。誓う、あいつのこと……泣かせねぇし、離す気もねぇよ」
「ならあとはお前らの問題だ。好きにしろ。ただし、振られてもプレーに支障はきたさない、それが条件だ」


「……なぁ、お前らバスケ部の親父とお袋みたいだな」
「何言ってんだ、沸いたか」
「なんかさ、お前らにはちゃんと報告しなくちゃって思ったんだよ」
「ハハハ、娘さんを下さいって?」
は俺の娘じゃない、俺も木暮もまだ高3だ」


「ンなこと分かってんだよ。
でも、俺たちにとって、『』は大事なヤツだろ、
全国制覇を誓った日からずっと……。だからさ、どうなってもケジメとして、な」
「三井……大丈夫だよ、ちゃんとにケジメつけてやれよ」
「ああ……サンキュ、木暮、赤木……」














拝啓 お父様、お母様