「翔陽は今までのやつらとは次元が違う!!」
今日はシード校、翔陽との試合。
私は久しぶりの緊張に眠れなかった。
「赤木でも緊張するんだなー、俺も今朝4時に目が覚めちゃったよ」
「あ、木暮も!?私も緊張しちゃった。」
「もかー」
「でも、……勝とうね、今日。で決勝リーグ行こう」
「ヌハハハ!!さん、この天才リバウンド王桜木がさんを全国に連れて行きます!!」
「……どあほう、センパイを全国に連れて行くのは俺だ」
「なんだとー!!ふぬーーー!!」
「あーはいはい、今日は退場するなよ!天・才!」
私がそういうと、三井がスクッとベンチを立った。
「翔陽ごときでガタガタ言ってんじゃねぇ。あと……桜木!それと流川!」
「む、何だミッチー」
「……なんすか」
「を全国に連れて行くのは、この俺だ。勘違いすんな」
そういうと控え室から出ようとする三井。
「え、三井どこ行くの!?」
「……うるせぇな、便所だよ」
三井でも緊張するんだ。
いつも俺様で、いつも我儘でマイペースだと思ってたけど。
いや、それは流川か。
三井はこういうとこきっとナイーブなんだよね。
「三井、トイレ付いていこうか?」
「なっ、、バカか!!てめぇは!!」
「……話しあるって言ってんの!」
「は?」
とりあえず待っとくから、そう言って私は三井についていく。
「、中まで入ってくるなよ」
「入らないわよ!バカ」
三井がトイレに入ると、翔陽高校の人間が入っていくのが見えた。
「……(三井、揉め事起こさなきゃいいけど)」
しばらくすると、三井が血相変えてトイレから出てきた。
「チクショウ!誰だ!!」
「三井!?どうしたの!?」
「、今翔陽のやつが通らなかったか!!」
「通ったけど……ねぇ、話がつかめないんだけど」
「そいつが言ってたんだ……俺のピークは中学で、……今日は5点以内に抑えるだとよ」
「三井、落ち着いて」
怒りに震えている。
三井は、中学のことを持ち出されるのがあまり好きじゃない。
美化された思い出と、今の自分の差に苦しんでいるから。
私は三井の手を握った。
「……三井なら出来る、三井は強い、私が付いてる!」
「……」
「流川と、桜木に啖呵きったばっかりじゃない……ってうわっ」
急に視界が真っ暗になって、三井の匂いが、私の鼻に広がる。
私はどうやら三井に抱きしめられているようだった。
「ちょ、三井!ダメだよ!また誰かに見られたら」
どうして、三井は私を抱きしめるんだろう?
どうして私はこんなにあわててしまうんだろう?
この胸の高鳴りは、私は三井が、好きということかもしれない。
二年前のあの日から、私が三井を待ち続けたのは、
好きだからだったのかもしれない。
三井は、何を思って、私を抱きしめてくれるの?
2年前の、贖罪?それとも……?
「……うるせぇ、ちょっと充電させろ」
「……バカ。アンタが好きな子に見られても知らないからね」
「お前ちょっと黙っとけ」
三井の心臓が、ドクドクと早鐘を打っていた。
「ねぇ、そういえばアンタ手洗った?」
「……あ……」
「離せ、今すぐ離しなさい。三井。そして手を洗って出直してきなさい」
翔陽戦直前の抱擁