「ケホッ!ケホッ!」
センパイ、……風邪?」


昨日インターハイ予選1戦目、三浦台との試合に勝利を収め、
私と赤木、木暮、三井は軽く喜び合って家に戻った
久々の公式戦で珍しく部活で疲れてリビングで眠りこけ一夜を明かしてしまった。
気が付けば、喉が痛いという状態だったのだ。
一応皆に移さない様にとマスクは着用してきたけど、
そんな私の咳にいち早く気付いたのは流川で、近づいてくる。
てか流川、最近親衛隊に睨まれる率高くなってきてるんでね、控えてくれんかね、
そんなことを思いながらも心配してくれた後輩を無碍には出来ず、


「朝起きたら喉やられてた……」
「どうせ腹出して寝てたんでしょう?センパイ寝相悪そう」
「は、違うから!私の寝相は死んだようだといわれるほどのキレイなもんよ!」
「じゃあ、合宿のときに確かめるっす」
「何言ってんの!ばか者」
「なんならうちに泊まりに来て貰ってもいいっす」
「行けるかいっ」


そういうと、流川は私の頭をぽんぽんと撫でて


「とりあえず、無理、しないでください」


それだけ言って練習に戻っていった。
コートでは、三井の視線を感じていたけど、別に今話すこともないしと
私もマネージャーとしての仕事に戻る。


「(……流川の野郎、の頭なでて……まさかあいつ流川と?)」
「三井さん、顔に出てますよー。さん、モテますからね?」
「……っ!てめ、宮城!?」
「多分さんは流川の気持ちに気付いてないですけどね。
それに敵はあいつだけじゃないですし、知ってます?さん他校でも狙われてるらしいっすよ」
「俺には、かんけーねぇ。アイツが選ぶことだろ?」
「三井さん、アンタ素直じゃないね」
「うるせぇ、てめぇは彩子彩子言ってればいいんだよ」


珍しく神妙な面持ちで話し込んでいるリョータと三井を見つけて、
私は何の話だろうと近づいた。


「何の話してるの?」
「げ!!?」
「げっ、って何よ。失礼ね」
「あ、いやいや三井さんがね、流川に嫉……」
「だーーー!!宮城黙れ!消えろ、むしろ死ね!!いまここで死ね!!」


リョータは楽しそう、三井はなんだか焦ってリョータにヘッドロックをかけて。
私はクエスチョンマークを浮かべつつ、でも喧嘩してるのでないならいいかと
振り返ろうとした。
その時、だった。


視界が歪み、私は盛大な音を立てて、後ろに倒れこみ意識を失った。


!?」


意識を失う寸前、三井が真っ青な顔をして、私に駆け寄ってくれたのが見えた気がした。




そんな私の視界に次に入ったのは、保健室の天井。


「んー……、あれ?私……」
、お前熱もあったんじゃねぇか。何で休まなかったんだよ」
「三井……?三井が私のこと、運んでくれたの?」
「ああ、そうだよ!悪いか!それよか俺の質問に答えやがれ!」
「あ、何で休まなかったか……?」
「……流川に会いたかったからか?」
「え、何で流川……ってうわっ!!」


私が聞き返そうとした所で、三井は私の腕を引き寄せ、
私のことを抱きしめた。


「三井……?」
「……無理すんな。心配すんだろバカヤロウ」
「……えっと……ごめん……もう無理しない、から」


病人は私なのに、いつの間にか気を遣う相手が逆転して、
私は三井の背中をぽんぽんとなでた。
男の人に、こんな風に抱きしめられるのは初めてで、
ドキドキがとまらなくて、多分熱に浮かされてたんだろう。
でも三井だから大丈夫、なんて妙な自信で私は三井の抱擁を
戸惑いつつも受け入れた。









貴方の抱擁に戸惑って