数日後、リョータの帰還により、
湘北バスケ部は再びかつての活気を取り戻していた。


さん!宮城リョータ、戻りました!!」
「お帰り、リョータ。怪我はもうよさそうね」
「うっす!」
「私より彩子が心配してたわよ?」
「え!アヤちゃんが……」
「リョータ顔緩みすぎ」


リョータは犬みたいに彩子の下へ駆け出し、
そして彩子の伝家の宝刀ハリセンチョップを受けている。
いやいや、怪我して入院してたんだぞ?ヤツは。


「……気のせい、だったのかな」


私はポツリと呟いた。
何度も名前を呼んだのに、三井は気付いてくれなかった。


「……い……」
センパイ」
「え?あ、えっと、流川?どうしたの?」
「足つりそー」
「え!?ちょ、重っ!!ほら、早く座って座って」


流川は一年の期待の星。
これからフルで出てもらわないと予選は勝ちあがっていけない。
それくらい大事な男だ。怪我でもされたら一大事。
私は寄りかかってきた流川を引きずるように運びベンチに座らせると
入念にストレッチとマッサージを施す。


「水分補給した?」
「……忘れてた」
「飲め!足がつる原因の一つは脱水症状なんだからね!」
「ウス」


私はぐっと腕を伸ばしてポカリのボトルを取って流川に手渡す。


「センパイ、気のせいってなんのこと?」
「……は?聞いてたの?」
「聞こえた」
「……いい?私は高校三年生なの、わかる?色々あんのよ」
「大人ぶんな、二つしかかわらねー」
「バカね、この頃の2歳差ってのは大きいのよ?経験値が違うんだから」
「経験値ってオトコ?センパイでも男いるの?」
「殺すわよ、流川」


この後輩は仏頂面で何を考えているか分からない。
けど、話をすれば短くだけど一生懸命返してくれる、可愛い後輩だ。
もっと私に話すみたいに色んな子に話しかければ
きっと彼に付きまとう誤解も溶けていくんじゃないかな、
と勿体無さを感じてしまう。


「む!テメールカワ!!このキツネが!!さんに何してるんだー!!
セクハラか!そうか、セクハラだな!!」
「……どあほう」


桜木と流川きっとこの二人がキーマンになる。
私はそう確信している、けど、この仲の悪さを誰か何とかしてくれ。


「おーおー、楽しそうだな、宮城。俺たちも混ぜてくれよ」


その声に、私は振り返った。
三井、だった。



再会